めまい
フラフラする、ユラユラする、グルグルする、ひっぱられるような感じがする…なぜめまいが起きてしまうのでしょうか。めまいは平衡感覚の異常によって引き起こされます。
当院の鍼灸治療は、平衡感覚に影響を与える「頚・肩こり」を改善することにより、めまいの回復をお手伝いします。
めまいのメカニズム
平衡感覚は①三半規管 ②視覚 ③筋肉の状態の3つの情報から成り立っています。3つの情報が脳に届くことで、体がどれくらい傾いているのか判断しています。
①三半規管…耳の奥(内耳)にあり、半円形の管が3つ集まった構造をしています。頭を動かすと三半規管の中を満たしているリンパ液の流れが変わり、それぞれが上下・前後・左右の傾きを感知しています。
②視覚…目から入ってくる視覚情報によって、自分の体が水平か脳が判断します。試しに、目をつむって片足立ちをしてみると、目を開けている時よりも難しいと感じるはずです。
③頚・肩の筋肉の状態…体が傾いている時は、頚や肩の筋肉が伸び縮みします。これにより、体がどのくらい傾いているか判断しています。
通常、「三半規管」「視覚」「頚・肩の筋肉の状態」この3つから脳に伝えられる体の傾きの情報は一致しています。しかし、体に異常が起きて、脳に伝えられる情報と実際の体の傾きが異なる場合、脳はパニックを起こしてしまいます。
これが、いわゆる「めまい」の状態です。
めまいを引き起こす疾患
メニエール病
激しい回転性のめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感を繰り返す疾患です。原因は内耳の内リンパ水腫(内耳の中でむくみが起きている状態)だと言われており、何度も症状を繰り返すことが特徴です。
病院での治療は、内耳の血流を改善する薬や、末梢神経の働きを改善するビタミン剤、内リンパの水腫(むくみ)を改善する利尿剤などが使用されます。めまいや吐き気が強く薬が飲めない場合は、点滴を使用します。
原因はストレス、疲労、睡眠不足だと言われており、薬での治療を行う他に、ストレスの原因を見つめ直すことが必要とされています。
また「蝸牛型メニエール病」という疾患もありますが、こちらは比較的めまいの少ない疾患で「低音型感音性難聴」と呼ばれることもあります。
良性発作性頭位めまい症
体の傾きを感知する三半規管の中に耳石と呼ばれるカルシウムの粒が入ってしまい、めまいを引き起こす疾患です。三半規管に耳石が入ってしまうと、三半規管の中を満たすリンパ液の流れが変わり、実際には頭は動いていないのに、脳には「体が傾いている」という信号が送られます。
疾患名の通り、「頭の位置」によって「発作的」にめまいが起きることが特徴の一つです。急に姿勢を変えたり、寝ている状態から起き上がった時にめまいが起きます。診断には「眼振(がんしん)」の検査が行われ、これによって耳鼻科の専門医は原因を推測します。
病院での治療は、めまい体操(エプリー法)と呼ばれる運動を行い、三半規管に入ってしまった耳石を追い出します。薬による治療はあまり効果がないとも言われています。
前庭神経炎
内耳と脳をつなぐ前庭神経に炎症が起き、めまいが引き起こされる疾患です。風邪を引いた後などに起きやすいと言われており、激しいめまいが数日続くこともあります。
病院での治療は、前庭神経の炎症を鎮めるステロイドなどが使用されます。
めまいの鍼治療
薬での治療を行ってもめまいが改善しない場合、頚や肩の緊張が原因として残っているケースが考えられます。
めまいは内耳と視覚、筋肉から脳に送られる情報の不一致によって引き起こされるので、内耳の問題が解消されても筋肉の緊張が残っていると、めまいが治まらないことがあります。
施術では頚・肩こりの原因となるポイントを全身を広く見て探しますが、中でも重要なのがあごの関節です。
あごの関節が緊張すると、頚や肩の筋肉も緊張します。試しに、歯をグッと食いしばると頚や肩が緊張するのがわかると思います。めまいの患者さんは力を抜いている時でもあごの周りに緊張が残っているケースが多くみられます。歯ぎしり、食いしばりがある方もいます。この無意識の緊張があると、脳に誤った情報が送られ平衡感覚に異常をきたし、めまいを引き起こします。
あごの周りの筋肉を緩めることで、頚肩の緊張を和らげ、めまいの改善を目指します。
また北斗病院鍼治療センターとの共同研究により、めまいの原因となる頚・肩こりを効果的に解消していくために3つの条件が必要であることがわかってきました。
①鍼は少ない本数であること
たくさん鍼をすればするほど効果が上がるわけではありません。過剰な刺激は回復の遅れにつながります。
②優しい刺激であること
「鍼は痛い方が効く」というのは誤解です。体への負担が少ない方が、回復までの時間は短くなります。
③原因に対してアプローチすること
体を広くみて原因を探し、適切にアプローチすることで回復に向かうことが出来ます。
スタッフから患者様へ
めまいが起きると「脳に異常があるのではないか」と不安になったり、症状が治まってもいつ起きるかわからない、どこに相談すればいいのか…と不安を抱えている方もいらっしゃると思います。
当院は北斗病院鍼治療センターと共同で研究を行い、めまいを改善するための鍼の技術を磨いています。その中で、特に頚・肩の緊張が影響を及ぼしていることがわかってきました。
めまいの解決策を見つけるために、私たちがお手伝いします。ぜひ一度ご相談ください。